今までのあらすじ④
こんにちは。バイオリン工房アトリエVERNICEのikebuchiです。
前回は改造するバイオリンの出自についてご紹介させていただきました。
今回はそんな安価なバイオリンをどうやって希望販売価格20万円(仮)まで価値を引出そうかと言う、皆さんにも大変興味があるであろう内容をお届けします。
お金の話ですので少し書くのも気が引けますが、今回の企画で重要なポイントでもあるので興味のある方だけ読んでいただければと思います。
楽器店やインターネットで売ってるたくさんのバイオリン、中には2000円と言う送料の方が高そうなバイオリンも見られます。
上を見ればストラディバリウスのバイオリンが何億円と言った価格で取引されていますね。
ここでは話がややこしくなるアンティークの楽器はひとまず置いといて、新作の楽器(2000年代以降製造)のみに注目してご紹介いたします。
巨匠と言われる現代のバイオリン職人、イタリアはクレモナのBissolottiとMorassiの名前を皆さんも一度は聞いたことがあると思いますが、彼らの楽器が新作ではトップクラスに高額となっています。相場はなんと500万円以上!(ファミリー内で異なります)
その他クレモナのトップクラスの作家、私の師匠であるGiorgio GrisalesやStefano Trabucchiの楽器が200万円以上、若手作家の値段が80万~100万円と言う相場で取引されています。
50万円~100万円は世界各地の個人製作家の値段層
20万円~50万円はドイツ、ブルガリア、ルーマニアなどの工業製品
10万円以下~20万円はバイオリン入門者向けの中国製や各国安価モデル
と言う感じの値段設定に日本の市場ではなっていますね。(個人主観)
今回の改造バイオリンを当てはめてみると、価格8万円の安価モデルを東欧工業製品並みまでグレードアップする必要があると言うことになります。
ここで私の個人製作のバイオリンの値段を見てみましょう。
なんとオーダーメイドバイオリンで40万円!!!(リンク先参照)
若手の日本人作家の楽器の値段としてはかなり頑張った値段設定にて販売しており、おかげさまで大変好評をいただいております!
ただ、これは1から私が全ての工程を一人で行った場合のお値段ですので、今回の改造バロックバイオリンにはもちろん適用されません。
ですので、今回改造するにあたり、何パーセントくらい私が手を加えるか?をお値段設定の参考にさせていただきたいと思います。
オリジナルとして残すパーツ
・裏板
・横板
新しく作るパーツ
・表板
・バスバー
・ネック
・指板
・テールピース
・ニス
全8か所の工程のうち、実に6か所、75%を私が製作することになりますね!
今書いてて気が付いたんですが、けっこう工程多いぞ。。?
と言うわけで私のオーダーメイドバイオリンの値段の75%からクオリティ的にあまりよろしくない裏板と横板の値段を引いてさらにいろいろおまけして、
希望販売価格は20万円にしようと思います!(やっつけ)
細かい計算はあえて書きませんがけっこうお得?!
今回の記事はなんか営業っぽい内容になってしまいましたね。。
世界のどこかに欲しい人はいるはず!!
とにかく前進だ!!!
つづく
今までのあらすじ③
こんにちは。バイオリン工房アトリエVERNICEのikebuchiです。
約一ヶ月ぶりの更新です。大変お待たせしております。
前回は表板の製作までを書きましたので、
今回改造するバイオリンの出自について紹介を致します。
KARL HOFNER 型番18801
カールヘフナーと言えばドイツの超有名老舗楽器製造会社ですね!
バイオリンはもちろん、ギターやベースなどを世界中に販売する音楽をたしなむ人にはポピュラーな楽器メーカーです。最近は中国に工場があるとかないとか。詳しい会社概要はウィキペディアを参照してください。
さて、なぜこのバイオリンが私の手に廻って来たかは、確か前々回の記事に書いた通りです。
ただ、現物が古過ぎるのでインターネットで検索してもよく分かりません。
ラベルだけでは全く重要な情報など書かれているはずもなく。
その後あれこれ写真と記憶を思い起こしたら前々回の写真に重要な情報を発見しました!
はい、こちらです。
KARLHOFNERの上に何やら小さいシールがありますね。
これを拡大して反転させると
なにやらKH7と書かれているもよう(すいません、現在はこのシールは紛失しております。)
この情報を元にインターネットで検索した結果!!!
カールヘフナー#7X番台はバイオリン初心者向けの入門楽器!!!
らしいです。。
お値段も#7X番台はお手頃価格の定価6万円~8万円!!
らしいです。。。
京都の職人さんが10万円かけて直すのは無駄だと言ったのがよーくわかりますね!
これほんとにバロックバイオリンに改造してメルカリで売るなんて出来るんですかね!
ただ、#7X←の相場は出てくるものの、#7←Xなしの相場は出てこないもよう(悪あがき)
正直、この楽器を購入した方が亡くなってる以上、楽器のクオリティなどを判断した結果#7X番台の楽器として扱って問題ない!!(断定)
と言うわけでこのブログは、カールヘフナーの安価な楽器を改造すると言う内容だとご理解ください。。
つづく
今までのあらすじ②
こんにちは。バイオリン工房アトリエVERNICEのikebuchiです。
前回は今から改造されるバイオリンがどのようにして私の手に廻って来たかをご説明させていただきました。
今回は壊れた表板の修理方法についてのお話をしましょう。
それでは私が破壊した部分をズームイン!!!
はい。けっこうガッツリ割れてしまっていますね。
どれだけ強くペグを回したらこうなるのか、今の私にとっては逆に興味をそそられます。
当時高校生で、バイオリンの知識も皆無だった私にとってはもうどうしようもない状態でした。
しかし!!!
イタリアはクレモナで修業をし、コントラバスまで製作、修理可能な現在の私にとっては、この程度の修理は造作もありません(ドヤ!
ただ、やはりこの表板をよ~く見てみると、古いドイツの量産品(価格安め)特有の適当に作られた感がすぐに分かってしまいます。
例えば裏側を見てみましょう。
表板を横板から分離させてすぐの写真です。
お世辞にもきれいとは言い難いですよね。バスバー短いし角ばってるし、しかも厚みもバラバラなどetc..
京都の職人さんが表板作り直すと言っていた気分がよくわかりますね。
ですので
この表板をまるまるコピーして表板をもう1枚作っちゃいました!!!
はい。端折り過ぎてすいません。
製作工程は写真を撮っていなかったのでありません。ごめんなさい。
私のツイッターに過去の表板製作の画像が何件か上がってるので、製作工程を見たい方はどうか発掘してください。
ともあれざっくり言って上記に書いたほぼ全ての問題はこれにて全て解決!!!
製作期間も実質3日と、修理するよりも早く問題が解決してしまいましたとさ。
つづく。
今までのあらすじ①
こんにちは。バイオリン工房アトリエVERNICEのikebuchiです。
さて、今回は改造バロックバイオリンを作ってメルカリに出品しよう!と言う企画でこのブログを立ち上げました!
ほぼ趣味での製作となりますので、長期連載となりますが長い目で見ていただければ幸いです。
そもそも今回の企画を始めようと思ったきっかけは、ある一本の壊れたバイオリンの存在です。
はい、こちらです。
実はこのバイオリン、私がバイオリン製作を始めるきっかけとなったものです。
別に誰も聞いていないカミングアウトですが、はい、見事に壊れていますね。
表板の駒が立つ位置にガッツリ割れが入っています。と言うか表板がまるまるとれちゃってます。
【何を隠そうこのバイオリンを壊したのは私です。】
思い起こせば16歳の春、母の知人のおじいさんが亡くなられた時、遺品処分として私に廻ってきたのがこのバイオリンでした。
私のところに来た当時はまだ何一つ壊れていないただの古いバイオリンだったのですが、バイオリンを触ったことのなかった私にとってはまさに子供の手に渡ったおもちゃ状態。
結局、何回か弾くマネをした後、調弦の時に弦を強く巻きすぎてしまい
バキッ!!!とやってしまいました。
その後これを直そうと京都市内の楽器店で修理をお願いしに行くと、
修理するのに表板を作り直すので見積上でも10万円以上かかると言われてしまいました。
当時高校生だった私にはそんな大金用意できるはずもなくこのバイオリンは見事に御蔵入りとなってしまいました。
と言うわけでこのバイオリンは、私にバイオリンと言う存在を記憶に刻み付け、製作、リペアに興味を持たせるきっかけとなったものとなりました。
つづく